Philosopher's chip 賢者の石 専務の独り言

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専務の独り言はブログにかわります

いつの間にかvol.190までになった「賢者の石 専務の独り言」はブログにかわります。
今までの記事は、このまま残しておきますが新しいものは 「店長の独り言」をご覧下さい。
長い間、ご愛顧ありがとうございました。

vol.190: 2段ベッドのサイドガード

取引先の問屋さんがいつものように店に来ました。でも何だかいつもと様子が違います。何かちょっと沈んでいるよう。

何かあったのかと聞くと、その問屋さんで扱っている2段ベッドでお客様が怪我をされたとの事。詳しく話を聞くと、以下のような事だったそうです。

そのお客様は、2段ベッドを使って6年。最初のうちは姉弟2人で使っていましたが現在ではお姉さんは別の部屋に独立したので弟が2段ベッドを一人で使用。下の段に寝て上の段は物置として使っている。
上の段に置いてある荷物のあげおろしをやりやすくするために、上の段の片側のサイドガードを取り外す。
荷物の整理のため、上の段に乗って作業をしていたところ、サイドレールが曲がり床板が落下。本人も転落し怪我を負う。

2段ベッドは、将来ひとつずつにばらして別々のベッドとして使用するときに通常のベッドのように使えるようにサイドレールについているサイドガードを取れるようになっているものが多くあります。
サイドガードは寝ている時の転落の防止のほかに強度を高める機能が与えられています。ですので2段ベッドとして使う場合にはサイドガードを取る事は禁止されています。 ごくまれに2段ベッドの形状のままで、下の段の片側のサイドガードをはずして腰掛けられるよう

vol.189:レザー張りと布張り


ある業者からスツールを仕入れました。その業者は、もともとは家具のメーカーから商品を仕入れて小売店に販売する、いわゆる問屋さんでしたが、最近は東南アジアから直接買い付けを行って自社のものとして販売もしています。
そのスツールもそういう商品らしく、品質表示表に記載されている表示者はその会社になっています。

どのような経過でその商品を扱うことになったのかは、私にはわかりません。設計やデザインはその会社で行って海外の請負工場で作らせたものなのか、それとも海外で製品化されたものを買い付けてきて自社の表示をしたのか定かではありません。でも、どちらにしても、作らせた(または買い付けた)人間は素人としか思えません。

そのスツールに座った時、違和感を覚えました。何か変だなと思ったら、布張りの構造でレザー張りの椅子になっていたのです。

皆さんは、食堂椅子の布張りのものとレザー張りのものの構造の違いを知っていますか?

私達が、食堂椅子の座面の張替えを頼まれた時に注意する事があります。それは、張地の種類を替える時です。レザー張りだったものを布張りに変更する時は別に問題は無いのですが、布張りだったものをレザー張りに替えたいという時には注意が必要になります。

誰が設計したのか、その仕入れたスツールは布張りの設計でレザーが張ってあったのです。

椅子の座面の構造もさまざまで一概には言えないのですが、座面の大きさの板にウレタン等をのせて張地の生地で包んであるタイプが一番一般的です。こういうタイプの座面の場合、レザー張りになっているものは必ずその板に空気穴があけてあります。裏側に黒い布などが張ってあって見ただけではわからないかもしれませんが、さわってみると穴が空いているのがわかります。この穴が無いと座った時に空気が逃げることができずに変な座り心地になってしまいます。布張りの場合は、布から空気が出入りしますので空気穴は必要ありません。

ですので、もし皆さんが自分で食堂椅子の座面の張替えを考えていて布張りからレザー張りに替えようと思っていたら、必ず空気穴の有無を確認して、穴が無かったらドリルで数箇所の穴をあけてから張り替えて下さい。

仕方が無いので仕入れたスツールはこちらで穴を開けましたが、既にウレタンが貼ってある所に穴を開けるのって非常に神経を使うんですよね。プロなんだからしっかりしてもらいたいもんです。

vol.188:日本製の定義

とあるメーカーの展示会に行ってきました。日本製とうたっている新製品で、とても価格が安いものがありました。
興味があって、その商品を良く見てみると組立家具の構造になっている完成品でした。組立家具の構造という表現がわかりづらいかと思いますので簡単に言い換えると、
普通の家庭にある道具(ドライバーやハンマー等)があれば、用意されているパーツを組立てて完成品にする事ができる様な構造という事です。

パーツ自体は、すべて中国などの海外で作ってしまって、組立だけ日本で行えば、組立前は体積も小さいですから日本への輸送コストも下がります。なるほどな、と思いましたが果たしてこれって日本製なのでしょうか。

確かに日本で、メーカーが組立てて完成品にしている訳ですから日本製と言えば日本製ですが、これをパーツのまま購入して、うちの店で組立てたらそれは日本製ではなくて、パーツキットの生産国製となります。
同じ商品なのに、メーカーが作ると日本製で、販売店が作ると海外製。どうも納得できません。

その思いをメーカーさんにつげると、
でも、材料の木材や部品もほとんど輸入だから、板を海外から購入して日本でカットして組立てるのと、板を海外で購入してカットさせて、後は組立てるだけにしてから輸入するのとは五十歩百歩で大差ないでしょう、との返事が。

自分の中でも、どのくらいまでの作業を海外で行えば海外製で、どのくらいの工程を日本で費やせば日本製なのかという定義があいまいなためうまく反論ができませんでした。

でも、要は日本製であろうが海外製であろうが、その商品の品質が安全で安心して使えるものかどうかという事が大切なことなのでしょう。私が、見たその商品は、日本製と言うにはなんともがっかりするような品質だったのです。

多分、あの商品は売れないだろうな。

vol.187:やっぱり色白は百難隠す

かなり以前に、「色黒は百難隠す?」という記事を書きました。その内容をまとめると、

濃い塗装色の家具は、その塗装によって下地の木自体の弱点を隠す事ができるが、着色をしない塗装では下地の質がそのまま見られるのでメーカーさんは色をつけた塗装の商品を作りたがる。

という事でした。これはもちろん無垢の木を使った場合であって、プリント化粧版等では、色が濃かろうが薄かろうが関係ないのですが、無垢の木であっても逆に色をつけた方が不利になる場合が実はあったのです。


最近では、家具の塗装といえばウレタン塗装という塗装が主流です。アミノアルキド塗装、ポリエステル塗装や、ずっと以前の家具や一部高級家具にはラッカー塗装等も行われていましたが、化学的に心配があったり、衝撃や薬品に弱かったりなどの弱点があり、それに比べて一番安定しているウレタン塗装が最も良く使われています。

それが、ここ数年の自然志向や健康志向によってオイル塗装という塗装が急浮上してきました。定期的なメンテナンスが必要だとか、何かをこぼしたりした時にシミなどになり易いという弱点があるのですが、木の素材感を一番感じることができ、自然素材のオイルであれば、人体に有害な化学物質も含まない等のメリットもあります。それによって、最近ではさまざまなオイル塗装の家具が増えてきました。
そこで新たに浮上してきたのが、オイル塗装においては、塗装の常識がウレタン塗装のそれとは逆になる事でした。

先日、メーカーの展示会に行ってとある商品の検討していました。いつもなら担当の営業の方と相談するのですが、展示会には多くのお客さん(家具販売店)が訪れますのでそうもいきません。今回私の相手をしてくれた人は、実際にその商品を作っている工場の方でした。その商品は、オイル塗装を使った商品でナチュラル色とダーク色の2色が用意されています。 もし当店で展示するとすると、展示スペースの関係からどちらかの色に絞らなければなりません。 

「出荷ベースではどちらの方が出ていますか」 と私が聞くと、
「そうですね。そんなに差は無いですね。若い人は明るい色を選んで、年配の方は落ち着いた感じのするダーク色を選ばれるみたいですよ。」
と、営業担当の人でもそう答えるだろうという答えが返ってきたのですが、その後に工場の人ならではのひと言が。

「でも、」
「えっ、何ですか?」 と私。
「作るほうは、ダーク色は嫌なんですよ。手間が多くて。」 と本音トークがでてきました。
「手間が多いというのは色をつけるからですね。」と尋ねるとちょっとびっくりな答えが。
「いや、それは全然手間じゃないんですが、研ぎムラがナチュラル色だとはごまかせるのが着色するとバレちゃうんですよ。」
との事。
木は、塗装を行う前に紙やすり等で下地を研磨します。それを研ぐ(とぐ)というのですが、それにムラがあると着色のオイル塗装では色ムラとなって出てきてしまうという事でした。なんとびっくり、ウレタン塗装においては下地をごまかしてくれる着色が、オイル塗装では、見たりちょっと触っただけでは分からない研ぎムラを浮かびあがらせしまうのだそうです。

そういえば、ちょっと考えてみるとオイル塗装の商品は比率的には着色をあまりしていないものがかなり多い。今までその理由は、オイル塗装はやっぱり自然って感じだから着色しないんだと思っていましたが実はこんな裏があったのでした。

工場の人だからこそ聞けた興味深い話でしたが、後で営業の人に怒られてなければいいけど。

vol.186:価格改定の時期

原材料や石油等の価格高騰により、家具も値上げをするメーカーが増えてきました。はたから見ていても、これはしょうがないなと思うものばかりで、これは便乗値上げじゃないのと思われるようなものはありません。
ですので、値上げ自体は仕方が無い事だと思うのですが、価格改定の時期に関しては納得できない点がいくつかあります。

まずは価格改定の予告時期です。家具というのは、パッと見てパッと即日購入するというよりも、いろいろと検討をしてから決定するという事が多い商材です。じっくり検討するという事は、最初に商品を見たときから決定するまでに日数がかかるという事です。
ですので、それを見越して予め予告をしておいてもらわないと店としてもお客様も困ります。
購入を検討するというのは、商品の良し悪しと価格とのバランスも見て検討されているという事です。じっくり検討して、決定して、店にいったら値上がりしていたというのでは、商品の選択を最初からやり直ししなければならないかもしれませんし、また店の方で見積りを出した後ですと、価格が改定になったので見積りを変更してくださいというのも容易ではありません。
最低でも1ヶ月前までには連絡をもらいたいものですが、月半ばに「来月より値上がりします」というメーカーも少なくありません。

もう1点は価格改定の境目です。中途半端な日付で価格改定をするメーカーは無いのですべて月の初めに価格が変わりますが、その時に2種類の対応があるのです。
これが本来の方法だと思うのですが「○月1日受注分より価格改定」というもの、もうひとつは納得がいかないのですが「○月1日納品分より価格改定」というものです。
例えば、3月1日受注分より価格改定という商品を2月29日(今年はうるう年ですね)に販売して発注をかければ旧価格で入荷してきますが、3月1日納品分より価格改定という商品の場合、商品欠品中で納期が2週間かかったとすると2月中旬に発注をかけても値上がりした価格での入荷になってしまいます。
最悪なのは、月の半ばに来月1日納品分よりと値上げを連絡してきて、その時点で月末までに納品が不可能な商品がある、というメーカーです。こんな理不尽な事ってありでしょうか。そんなメーカーは、少しでも利益を増やしたくてそうしているのでしょうが、そんな商品は販売店の方で売ろうとしないという事がわからないのでしょうか。

何を購入するのでも買うタイミングは難しいものですが、しばらくの間は、じっくりとでも迅速に検討をされた方が良いと思います。

vol.185:きっかけ

物を買おうと思うきっかけって何なんでしょうか。 新製品がでたから、新しい事を始めるので必要になったから、一目ぼれしてしまって等々、さまざまな理由があると思います。

家具においても、必然的なきっかけとしては、結婚したから、家を新築や改築したから、独立したから、学校にあがったから等の理由が考えられます。 また、ずっと長い間そろそろ取り換えようと思っていたところに、安売りやセールの広告が入ったというような、必然性に何かのトリガーがかかったという状況も考えられますし、そういうトリガーをかけるために販売側としては広告を打ったりDMを出したりする訳でもあります。

でも、何故、今なんだろうとか何がきっかけになって家具を買い替えようと思ったのだろうと全くわからない事があります。お客様に伺えば教えてもらえるかもしれませんが、お客様自身もわからないのでは、というような事もあります。

そんな事は別にどうでも良いような気もしますし、今までそんな事を深く考えた事はなかったのですが、なぜか突然そんな事が気になって頭から離れなくなりました。
そう思い出したきっかけは、とあるお客様に食器棚をお届けにあがった時の事でした。もう20年以上もずっと使われていた食器棚を新しいものと交換されたのですが、古いものはまだびくともしていません。状態もきれいだし、しっかりしているし、かえって新品の方が材質的には劣るし、売っているこちらの方が
「何でとっかえちゃうの?もったいないよ」
と思うくらいです。デザイン等に飽きちゃったのかな、とも思いましたが買ってから5年や10年ぐらいまでは飽きる気もしますが、20年以上も使っているものってもう空気みたいな存在で飽きるとかの次元では無いような気がします。

それをきっかけにいろいろと思い出してみると何故、今なんだというのが案外ある事に気づきました。
例えば、雪が吹雪くように降っていたり台風が近づいていたりと、
「こんな時はお客様が来そうにないからもう店を早じまいしてしまおうか」
という時にふらっとご来店されるお客様がいます。そしてそんなお客様には悪天候の中をわざわざ来るくらいなので必ずといっていいほどご購入していただけます。でも、どうしても今日買わないと駄目そうなものではないんです。何が、きっかけになってこんな時に買い物にでたのでしょうか?悪天候だから会社や店が休みになって時間ができたという感じでもないんです。

多分、その明快な答えは生涯みつからないでしょう。でも、そういう事を考えていると、商売って深くておもしろいものだな、と思います。

vol.184:ダブリューベッド?

ちょっと前に、ベッドのスモールサイズに関した事を書きました。それよりもちょっとショックを感じた事がありました。

先日、とある週刊誌の広告に「Wベッド」という表現が書かれていました。内容を見ると、ダブルベッドの事を現しています。ダブルベッドのダブルは 「Double」 ですから、約した表記では「Dベッド」と書かれます。Wという表現は、他の意味としてベッドサイズで使われています。WはWideという意味で使われ、例えばダブルサイズより大きくてクイーンサイズより小さいサイズにワイドダブルというサイズがあり(メーカーにより無いところもあります)、それはWDと表現されます。

「これじゃ、ダブルベッドじゃなくてダブリューベッドじゃん」
と電車の中吊広告を見て、これは賢者の石のネタになるなと思っていました。

家に戻り、この事を書こうかと思ったのですが、よくよく考えると例えば W受賞 とか W不倫 だとか、ダブルの意味でWというアルファベッドが普通に使われています。 D不倫なんて書かれた日にはどんな意味なんだかわかりもしません。

これはもしかするとベッドにおいても、Wという字が普通に使われているかもしれないと思って検索エンジンで調べてみました。するとなんとびっくり、Dベッドという表現よりもWベッドという表現の方が圧倒的に多いのです。もちろん、家具屋関係のサイトではDベッドという表現の方が多いのですが、Wを使っているところも少しありました。ホテルや不動産関係に到っては、Wベッドという表現が普通で、 「Dベッド? 何それ?」 という感じでした。自分が当たり前と思っている事が当たり前でなくてちょっとびっくりしました。

S(シングル:約100cm幅)とSD(セミダブル:約120cm幅)との間のサイズでSW(シングルワイド:約110cm幅)というサイズを持っているメーカーがひとつあるのですが、単にSWと書いてあるとセミダブルと勘違いされちゃうのかな。

vol.183:天賦の才

ギフトショーに行ってきました。年に2回、2月と9月にビッグサイトで行われます。これは、僕的には必須行事となっています。
毎年、何かしら新しいものを発見して、また新しいものを仕入れてくるようにしています。

新しい取引先から新しい商品を毎回仕入れていたら、それこそ店が溢れてしまいます。そうならないという事は、過去にお付き合いしたお店との取引をやめる事もあるという事です。ギフトショーでは、主にインテリア雑貨や木のおもちゃなどを仕入れてくるのですが、そのほとんどは中国や東南アジアで作られていたりしますので、どこのお店にも似た様な(中には全く同じ)商品が置いてあったりします。そうなると、少しでも安いところ、少しでもオリジナリティを加えているところを探すという事になり、その工夫が少ないところとは1回限りのおつきあいになったりします。

そんな中で、僕が毎回必ず注文をしてしまうお店があります。ヨーロッパ製の木のおもちゃを扱っているところなのですが、必ず新しい商品が出展されていて、前からある商品でも必要に応じて改良がされています。でも、何よりもすごいと思うのは、そのお店のおじさんです。
そのお店の商品を初めて仕入れた時の次のギフトショーの時でした。ブースを順に見ていて、

「あ、このお店はこの前に仕入れたところだ。案外、売れたよな」

と思った瞬間、おじさんが私の顔を見て

「あ、カミゼンさん。」

と言ったのです。びっくりしました。何で、名前を覚えてるの?半年前に10分ぐらい話をして、後は何度か電話でやり取りしただけなのに。

ギフトショーや他の見本市に行ったことがある方は、「胸に入場証をかけていてそれを読んだのでは。」
と思うかもしれません。でも僕が感じた感覚では胸のところを見る前に言葉を発したように見えました。知っている人の名前を呼んだ様に感じました。百歩ゆずって、本当に胸の字を読んだのだとしても一瞬のうちに相手が気がつかないように読む技術はたいしたものだと思います。

それにひきかえ、私はなかなかお客様の名前を覚えられません。何を買ってくれた人か、家がどこにあるのかとかはかなり覚えているのですが肝心の名前がでてきません。ギフトショーに行って、このおじさんに会うたびに、このおじさんのすごさを感じてしまいます。

今回も、目があった瞬間 「あ、カミゼンさん。毎度どうも」 と言われました。そして、いろいろ仕入れてしまいました。おじさんの才能がうらやましくなりました。

vol.182:名前がわからない

自分で欲しい物はわかっているんだけど、その名前がわからないで困った事はありませんか。名前がわからなくても、それを売っている場所や店がわかっていれば、実際にそこに行って
 「これ下さい」 とか 「こうこうこういうもの」 と言えば済みますが、現代はネット時代、まずネットで検索して情報を得てからというような時には困ります。

また、業界的に呼び名が固定されていなくてメーカーによって呼び方が異なるのも困ります。単に呼び方が違うだけならまだしも、メーカーによって違うものを指していたりするとお客様だけでなくこちらも困ります。

スモールという言葉は小さいという意味ですが、それがベッドのサイズについていた時、あなたはどんなベッドを想像しますか?
シングルサイズより小さいベッド、と答えたあなた、ほぼ正解です。正解ですが、それはどういう意味ですか?
シングルサイズよりも幅が狭いベッドですか? 長さが短いベッドですか? その両方ですか?

実際には、メーカーによって幅がシングルサイズより狭いのをスモールと呼ぶメーカーもあれば、セミシングルと呼ぶメーカーもあります。
また、長さが短いものをスモールと呼ぶメーカーもあれば、ショートサイズと呼ぶメーカーもあります。この場合ですと、例えばセミダブルの幅で長さが短いものは「セミダブルスモール」なんていう呼び方になって、小さいのか大きいのかよくわかりません。

こういう混乱をさけるため、長さが180cmで普通より短いマットレス、などと表現をしたりするのですが、例えばシングルサイズでもメーカーによって幅が3,4cm違ったりします。いっその事、サイズ名による規格サイズって決められないものでしょうか。

vol.181 : フランク・ロイド・ライトが嘆くぞ

 先日、とある家具メーカーの新作展示会に行ってきました。メインは来シーズンの机です。
他のメーカーでもそうなのですが、ゴムの木や針葉樹以外は無垢の木を使った机が減ってきています。特にナラ材(オーク材)は、数年前までは中国産のナラが全盛でさまざまなメーカーがナラ材無垢の机を出していたのですが、今は突板(木を薄くスライスして合板やMDFに貼り付けたもの)のものが主流です。既に中国でのナラ材は枯渇してきてロシアの方の木が使われているそうです。

このメーカーでは、ナラ材の無垢の机はまだラインアップに残っていますが、ナラ材の突板の机も増えていました。よく、無垢の机と突板の机の見分け方として小口面(通常の机でいうと天板横側)を見て、そこが年輪みたいになっていれば無垢の机なのですが、ご丁寧な事にこのメーカーでは突板の天板の小口面に年輪の突板を貼って、ちょっと見無垢風に仕上げていました。それだけ、ナラ材の無垢材の机を希望されるお客様が多いという事なのでしょう。

やっぱりナラ材の人気は高いな、と思いながらその机のシリーズを見ていったのですが何だか違和感があります。ナラ材と書いてあるので材質はナラ材なのでしょうが、何となくナラで無い様な気もするのです。
「なぜなんだろう?」 と思いながらじっと木目を眺めていて気がつきました。それは柾目材の部分でも全く斑が入っていないのです。
ナラの木の板を見ると木目を横切るように斑とよばれる模様が入っているものが多くあります。特に虎の模様のように入ったものは虎斑とよばれ、ナラが好きな人はこの斑にこだわる人もいます。日本においては帝国ホテルを設計した建築家として有名なフランク・ロイド・ライトは帝国ホテルの調度品として作ったナラ材の家具には虎斑の模様までこだわったという逸話が残っているほどです。

そんなナラ特有の斑が全く入っていないのです。それなので、ナラといえばナラに見えるのですが、他の樹種にも見えてしまいます。
当然ながら私はメーカーの人に質問しました。ちょうど良いことに新作展示会なので製作サイドの担当者がいました。
「斑が入ってないからなんだかナラって気があんまりしないんだけど、これってわざと?」
「そうなんです。実は、」 と担当者の人が話し始めました。私はその話を聞いてびっくりしてしまいました。
曰く、斑が入っているものを不良品だとクレームを言ってくるお客様が増えて来ていて、営業マンから天板面にはなるべく斑が入ってない部分を使ってくれとの要望が多いためそうなったとの事。斑の事を説明すれば理解してくれるお客様もいるが、人手不足もあるため説明に行っている時間が無いとの事。
ナラ材の説明ならお店の人がすればいいのに、とも思うのですがちゃんと説明できる売り子さんが減っている店が増えているとの事でした。

そんなお客様は、なぜナラ材の家具を選ぶんだろうね、と尋ねると、
ナラの木や木目が好きという事じゃなくてナラ材を使ってると高級というイメージで買っている人が増えているんでは、という事でした。ナラ材資源も底をつきはじめてるし、本当にナラが好きな人だけナラ材の家具を買ってくれればいいのに、と思ってしまいました。


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