賢者の石 バックナンバー(14)

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vol.140: ミッキーマウス保護法

皆さんは、一般的にミッキーマウス保護法と呼ばれている法律をご存知でしょうか。これは米国の著作権に関する法律なのですがなぜこれがミッキーマウス保護法と呼ばれているのでしょうか。この法律が1998年に成立するまで著作権の期限は75年間でした。その75年間という期間をディズニーのミッキーマウスに当てはめると2003年、つまり今年が期限で、ディズニーランドでなくても、そこら辺の遊園地でもミッキーマウスのぬいぐるみがおでむかえできるようになるはずでした。実際に、この版権切れを狙って香港でミッキーマウス・ランドを作ろうとした計画があったそうです。それが、権利者からの圧力で著作権の有効期間を20年延長されてしまったのです。ミッキーマウス・ランドを計画していた人も含め、これに異を唱える人達が訴訟を起こしていたのですが今年の1月にミッキーマウス法は合法であるという判決がでてしまいました。

家具メーカーでもミッキーマウスのキャラクターを使っているところがあります。もちろんきちんとミッキーマウスの家具に対する版権をもっていて子供用のタンス等にミッキーの図柄が入っているものを作っています。そのメーカーが最近、同じ商品の絵なしバージョンを作りました。当然、それはディズニー社に支払う版権代がかからないので値段は安くなります。
その商品を見ながら、そのメーカーの担当の人に
「この値段の差がそのまま版権代なの?」
 と聞いたところ、 
「まったくそのままだと版権代がバレバレなんでちょっとは違うみたいですけど、でもこんな感じみたいですよ。」
という返事。
へぇー、版権ってこんなに高いんだ!? それともディズニーだけ特別高いのか?

「ミッキーマウス法が成立しなかったら、もうフリーに使えるところだったのにね。残念だったね」
と言って話していたのですが、今、考えるとそのメーカーにとってどっちがいいのかわからなくなりました。
版権代は払わなくてはならなくてもディズニー社の強い監視によって贋物が作られるのが防がれているのと版権を払わなくて良くなっても似たようなものがいろんなメーカーからでてくるのとを比べた時、版権を持っているメーカーにとっては前者の方が得な気がします。

ところで、私がずっと疑問に思っているのが、もしディズニーの版権が切れていたら、ちまたにはちゃんとした顔のミッキーが氾濫するのか、それともなんだかミッキーみたいなミッキーじゃないみたいなのがぞろぞろ出てくるのでしょうか。それと20年後には再度、版権延長の法律がでるのでしょうか。皆さんはどう思いますか?

案外その頃にはディズニーよりも日本のアニメキャラクターが世界を席巻していたりして。


vol.139 : 入らないから大きくする

先日、とあるお客様のところに整理タンスを納品しました。設置したお部屋は二階でした。ご来店いただいた時からそのお客様にも言われていたのですが、階段が狭くて曲がっているので吊り上げた方がいいかな、とも思ったのですが植木の関係で吊り上げもままなりません。どうにか階段からあげる事ができましたが、もうちょっと大きいサイズだったら無理でした。
階段から二階にあげているのを見ていたお客様は設置が終わった後に、
「やっぱりこの大きさにしておいて良かった。実は別の部屋にも同じシリーズのを置きたいんだけどやっぱりこのサイズが限度よね。」
とおっしゃいました。そのお客様が選ばれた整理タンスは幅、および高さがいろいろ選べるシリーズものになっています。別のお部屋に置きたいものは、今回納品したものより大きいものの様なのですが、階段をあげているのを見ていてあきらめたようでした。
このシリーズのパンフレットを頭に思い浮かべながら私は言いました。
「いや、ちょっと待ってください。大きくしちゃえばもっと楽に納品できますよ。」
「えっ、どういう事????」
お客様の頭の上に ”?”マークがくるくるまわっているのが見えるようでした。
「確かこのシリーズは、今日納品したもののワンサイズ上から重ねになるんですよ。」

整理タンスに限らず、箱の形をした家具(タンス、食器棚、本棚等)は、全体がひとつになっているものと、真ん中あたりで上下二つに分かれて移動がし易くなっているものがあります。上下二つ(三つの時もありますが)になっているものを 「重ね」 と呼びます。 今回、お客様が選んだ整理タンスのシリーズは小さいものはひとつになっていて、ある程度の大きさになると重ねになっているのです。重ねになっていれば、ひとつあたりの
大きさは小さくなります。ですからサイズが大きくなった方が入れやすくなるという逆転現象がおこるのです。

説明を聞いて納得していただけました。そして今度は、重ねだとどの大きさのものまで入るか、という話になりました。上下の引き出しの関係で上下の大きさが全く同じという事はありません。大体、上より下が少し大きい形になっていますので、パンフレットで確認してご連絡する事になりました。

お店にご来店いただくお客様で、お部屋までの納品の事を考えていただけるのは大変ありがたい事ですが、無理かなと思っても、ご自分だけで判断されずにお店の人に相談してみて下さい。上下に分けられたり、左右に分割できたり、肘や背がとれたり、と現在の家具は納品の事も考慮されているものも増えているのです。


vol.138 : 引出しは開けるためにある

引出しは、ものを収納するためには引き出さなくてはなりません。
なにをあたりまえの事を、と思われる方が多いと思います。でも意外とうっかりしてしまうものです。

最近の住宅は作りつけのクローゼットがついているお部屋が一般的になっています。そういったクローゼットのほとんどのものが折り戸式の扉になっています。
先日もあるお客様が、クローゼット内に入れるためにと押入れタンスを買いに来ました。押入れタンスは押入れの奥行きに合わせて普通の整理タンスよりも奥行きが深くなっている整理タンスです。 クローゼットもだいたい内部の奥行きは60cm以上とってありますので入れるのには問題はありません。 そのお客様は約1.8m幅のクローゼットに押入れタンスを3つ並べて置きたいという事でクローゼットの内寸サイズもきちんと測ってこられて、ちゃんと3つ置けるという事で押入れタンスをご注文いただきました。

そしてお届けの日、確かにクローゼットに押入れタンスは3つ並べて置く事はできました。ところが、クローゼットの折り戸というのは折りたたんでも案外幅をとってしまうもので、引出しを開けようとするとその扉にあたって両側の押入れタンスの引き出しが開けられないのです。
開けられないのでは意味がないという事で、3つを2つにして両側に扉の折った分の幅を空けて配置しようかという事になりましたが、せっかく3つ並べられる隙間があるのに、といかにも残念そうです。
そこで、考えついたのが、両開きの折り戸の端側の固定してある部分をフリーにする事でした。フリーにしておけば折り戸全体を反対側まで移動できますので端の押入れタンスも引き出しが使える様になるわけです。

そんな事で、最初の予定通り、3つの押入れタンスを並べて使う事ができたのですが、端側が完全固定になっていたらアウトでした。 また、今回は折り戸でしたが、2枚引き戸の扉の場合は3つ並べると真ん中のタンスの引き出しはあけられません。 考えるとあたり前なんですが、うっかりしてしまうようです。皆さんもご注意下さい.


vol.137 : 大事にするね

先日、学習机を納品に行った先で、おもわずほほえんでしまう出来事がありました。

机を買ってもらったのは新1年生の女の子だったのですが、よほどうれしかったのか

「お母さん、どうもありがとう。私、この机、すごーく大事にするね」 と言いながら、机をなぜています。

「そうね、大切に使ってね」 とお母さんがいうと、

「うん、私、この机で絶対に勉強しない!」

いや、使ってもらわないと困るんだけど。お母さんは苦笑していました。


vol.136 : 無関心ではいられない

 ちょっと前に(ずっと前に埼玉銀行だった)あさひ銀行が埼玉りそな銀行という名前に変わりました。最近、銀行やガソリンスタンドがくっついたり名前が変わったりしていますが今までは一般常識的に名前を覚えとこうかな、という感じでした。でも今回はあさひ銀行が当店の取引先銀行でもあったため、文書等の振込先の部分を変更したりハンコを新しくしたりという作業が入り、めんどくさいなと感じました。
でも、直接、取引とかで関係無い改名でもあまり無関心ではいられない事に気がつきました。

 最近、このホームページへのアクセスも大分多くなり、ホームページを見たよ、と言って岩槻市近辺以外のところから来ていただくお客様も増えて来ました。それで、商品をご購入いただき、お届先をうかがう時に、お客様の家の地図を伺います。市内とかであれば一軒一軒の名前が入った住宅地図があるのですが、そうでない場合は大雑把な地図しかありませんので、近所の目印から簡単な地図をお願いする事があります。その時の目印として、銀行やガソリンスタンド、コンビニ等が使われることがよくあります。遠くからでも目立つし、そんなに変わったりなくなったりする事がなかったので、以前は目印としては最適でした。
 ところが最近ではそんな事があてはまらなくなってしまいました。一時は雨後のたけのこのように増えていったコンビニも最近では閉店してしまうのも少なくありません。
「**のところのコンビニを曲がって**したところです。」 などと言われながら実際に行ったらちょっと前にビデオ屋さんにかわっていたというのもあります。最新の情報で言ってもらえれば問題はないのですが、人間というのは一番慣れ親しんでいたもののイメージが強く残っています。 JRの事を未だに国鉄と呼ぶお年寄りの方もいますし、輪島の大ファンだった私にとって、貴乃花は先日引退した横綱の事ではなく大関だったお父さんの事を意味しています。あさひ銀行を昔のままに埼銀と呼んでいた人は、埼玉りそな銀行になって、何だか元に戻ったみたいだ、と言っています。

 先日も納品の時にガソリンスタンドを目印に地図を書いてくれたお客様がいました。地図には三菱と書いてありました。私も、三菱石油が今でもあるかないかなんて考えもせず、車を走らせました。多分、ここら辺だろうというあたりに来た時に、エネオスの看板を見つけました。
「あれ、エネオスって昔の三菱だったかな。どうだったかな。よくわかんないや。」
と思いながら必死に頭をめぐらせます。
「確か三菱は日石三菱になったはずだけど、日石三菱ってエネオスだったかな??」
その時、頭の中でCMソングのフレーズが流れました。

エネオス灯油でほっかほか エネオス灯油だもんね。

ん、この曲って昔は 日石灯油でほっかほか って歌っていたはず。と言う事は日石がエネオスとイコールという事で、日石三菱だから このエネオスは三菱の事だ!!
と言う事で無事、お客様の所につけました。昔と同じCMソングを使っていてくれたおかげでした。

そんな事で、これからはいろんな会社の名前が、どれがどのように変わったのかはしっかり把握しようと思いました。


vol.135 : Dr.ペッパー

 Dr.ペッパーという飲み物を知っていますか。私と同年代の人はほとんどの人が知っていると思うのですが20代以下の人だと知っている人を探すのが大変かもしれません。 Dr.ペッパーは見かけはふつうのコーラのようなのですが味が独特です。その出現は強烈でした。私が初めてDr.ペッパーを口にしたのは夏祭りの子供みこしをかついでいた時でした。おみこしを少しかつぐと休憩タイムになって清涼飲料水が配られます。その時に何か見なれないレンガ色の缶があったのです。私は、友達とその見なれない飲み物に手を出しました。缶の口から見える色はコーラのよう。コカコーラとは違うブランドのコーラかな、と思って飲んでみると今まで体験した事のない味が口に広がりました。
「げ、このコーラ、くさってる!!」 「なんだ、これは」
友達は異口同音にこんなまずいものはないと言っています。でもその時、私はその不思議な味のとりこになってしまいました。それからお店や自動販売機でDr.ペッパーの缶がめずらしくなくなりました。でも、ほとんどの人は、くさったコーラのような味と言って、うまいという私を味覚音痴とせめます。
 と、そのうちにそのレンガ色の缶は自動販売機から消え、お店からも消えてしまいました。
 それからは、旅行に行った時などに、数年に一度、Dr.ペッパーの缶を自動販売機を見かける事があるくらいで、「ああ、まだ存在しているんだ」 という思いと、「なぜ、ここに存在しているんだろう。この地方の人はDr.ペッパーが好きな人が多いのかな?」 という疑問が頭をもたげるぐらいです。

 そして、先日、「IC CARD WORLD 2003」 というショーを見にビッグサイトに行ったところ、再びDr.ペッパーに出会ったのでした。
現在、岩槻市の商店会の一部ではわくわくカードというポイント・カードを実施していて当店も参加しているのですがカードのシステムを新しくしようという事で視察にいったのです。そこで、電子マネーの実験というのを行なっており、100円分のポイントが入ったカードがもらえ、そのカードをジュースの自動販売機にかざすとお金を入れなくてもジュースが買えるというのをやっていました。そのデモ機の中になんとDr.ペッパーが3つも入っていたのです。ずーっと前に、スライド書棚の性能を示すために文庫本をつめこんだ書棚が展示してあり、その本が私が読んでいたSFの本だったという話をこの賢者の石で書いたのですが、なにかこの自動販売機のジュースの種類にも、ふつうのコーラやジュース、缶コーヒー等に混ざってDr.ペッパーが真ん中の段の中央やや右という絶好の位置に3つも並んでいる姿に、電子マネーのエンジニアの人の「俺は普通とちょっとちがう」というこだわりの心が見えて思わず感動してしまったのでした。

 当然ですが、私はDr.ペッパーを飲みました。それを見た同行者の人は
「たまにいるんですよね。Dr.ペッパーがうまいっていう変な人が。」 と言っていました。

絶対においしいと思うんだけどなあ。


vol.134 : 某カーテンメーカーの試み

 皆さんは、オーダーカーテンの定価を見てびっくりされた事はありませんか。その値段は、そこら辺で売っている既成のカーテンに比べて数倍の値段がしています。

 もちろん、一般的に既成のカーテンとオーダーカーテンでは品質や仕様が全然違っています。例えば、既製品はほとんどが1.5倍ヒダ程度ですがオーダー品は2倍ヒダ以上になっています。カーテンは単に1枚の布がかかっているというのではなく生地がウエーブをえがいています。これの度合いをヒダという単位であらわすのですが既製品が1m幅のカーテンを作るのに1.5mぐらいの生地を使うのに対し、オーダーでは2m以上の生地を使います。1m幅のカーテンを作るのに2mの生地を使うのを2倍ヒダと表現します。また、既製品とオーダー品では折り返しの部分の芯材の違いや形を整えるために下の端に入っているおもりとかも異なります。ここで、誤解を受けるといけないのでことわっておきますが、既製品にも2種類あって、ここではいわゆるオーダーカーテンの既成サイズの事ではなく、スーパーとかホームセンター等で棚に置いてあるような既成品を指しています。オーダーカーテンの既成サイズはヒダも2倍あり仕様もオーダー品とほとんどかわりません。

 さて、元に戻って値段の話ですが、実際には最初にびっくりしたほどの値段の差ではなくなります。それは、メーカーにもよりますが、オーダーカーテンの実売価は定価の4割から5割引きぐらいが一般的だからです。
 では、なぜオーダーカーテンはこんなに値引きができるのでしょうか。それは定価の設定が高くつけてあるからです。定価に対する仕入値が安いので大きな値引きができるのです。なぜこのような定価設定になっているかというと、カーテンの場合、単純にお店で売る場合の他に大工さん等が請け負ったりする場合があるからです。大工さんがお客さんに対して2,3割引きで売るためには大工さんには4割から5割引きの値段で出せないとまずいわけです。

 そんな中、某カーテンメーカーが思いきった試みを始めました。それは卸値はほとんど変更せずに定価の設定を半分近くに下げたのです。これによって販売店は、そのメーカーのカーテンの売価を値引きする事がほとんどできなくなります。お客様にとっては店側の仕入値は変わりませんから古い定価でも新しい定価でも同じグレードの商品は同じような価格で入手できますので特に影響はありません。
 このメーカーがこのような事を行なったのは、
オーダーカーテンの定価だけを見てあきらめてしまうお客様を引き留めたい。
カーテンのあまりにも大きい値引率に対する不信感をなくしたい。
と言う理由からだそうです。
 これに対して、販売店側や大工さん側からは猛反発がでています。別のカーテンメーカーは静観のかまえです。大工さん達はそこに自分の利幅をのせられなくなります。販売店としては、かわらないように思いますが、今まで 「これの5割引です。」 と言っていたのが 「この値段が売価になります。」 と言うとお客様が納得してくれません。また旧定価6000円の生地と新定価3000円の生地では、品物が全く同じでも6000円の生地の方が高級品に思えてしまいます。そんな事もあり売る側の反発はすごくある、とメーカーさんも言っていました。 
 2002年は新カタログと旧カタログを併用できたのですが、正直な所、接客しやすい点から当店でも旧カタログを使って5割引きで売っていました。でも2003年からは新カタログを使う事になります。他メーカーのカタログと一緒に見比べていただきながらお客様にご説明をしていくしかないと思っています。

 カーテン以外でも、高い定価設定をして見せかけの値引率を高くする家具メーカーもあります。でも最近ではあまり効果もなくなってきたようです。カーテンにしろ家具にしろ、どういう品質のものがいくらというように、これからは変化していくのかもしれません。それはこの某メーカーの試みがどういう結果になるかにもかかっているでしょう。 え、某メーカーってどこだって? ヒントは私の好きな女優さんがCMをやっていたメーカーです。


vol.133 : ネーミング

  今年も国際家具見本市に行ってきました。過去にもこのコラムで書いていますが、その衰退ぶりはひどいものがあり、今年もさらに輪がかかった感じでした。 という事で、新しい製品でこんなのがすごかった、というのを本当は書きたいところなのですが、書きたくなるようなものはなくてがっかりして帰ってきたのですが、少なくなった日本メーカーの出展者の中で気にとまった事がひとつあったのでそれを書こうと思います。

 それは、ネーミングについてです。 家具には商品名が必ずついています。食堂椅子やベッドなどという物自体の分類名だけでなくその商品を特定するための品番というものがついています。 食品類でさえきゅうりとかなすとかさんまとか品番などついていなかったものでも、「**さんの作ったきゅうり」 とか 「**県○○沖でとれたさんま」 とかネーミングがついているものもでてきました。

 家具の品番は大きくわけて2種類に分けられると思います。
 ひとつはアルファベットと数字の組合せのみからなる品番で、それぞれのアルファベットが特定の意味(例えば椅子であればCHAIRのCを取って C-***等)を持っているにしろその品番だけでは普通の人はなんの事だか全くわからないものです。コンピューターによる管理などには最適かもしれませんがちょっとつまらない。
 もうひとつは、特定のシリーズ名をつけてそれの中のなんであるかを示しているもの。例えば、このホームページでも載せている「木楽シリーズ」の 「木楽ダイニングボード30SL」等という表記法です。最後の数字やアルファベットは複数あるダイニングボードを区別するのに必要な記号として、頭についている部分で商品のイメージはある程度わかります。
 このシリーズ名に関して前から思っている事があったのですが、今回、国際家具見本市を見ていてその思いを強くしました。それは、商品だけでなくネーミングもアイディアがなくなってきているのではないかという事です。実は、今回の見本市で当店で展示しているシリーズと同じ名前で別の商品を2つ発見したのです。
「ん? どっかで見た名前のシリーズだな」 と思ってみたらうちで扱っているものと同じネーミングを使っていたのです。 別に名前を登録標章したりはしてないと思うので、問題はないとは思うのですがなんだかもうちょっとどうにかならないかな、と思いました。
 当店では、和風の家具に力を入れて展示を行なっています。このホームページにも 「木楽」 というシリーズや 「和組」 というシリーズを載せていますが、この 「木」 「楽」 「和」 「組」 等の感じは非常に多く使われています。 実際に 「木楽」 「和組」のほかに「木組」 「和楽」 というシリーズ名を持つものもありますし、「木楽」 「和楽」 は私が知ってるだけで2種類の同名の別シリーズがあります。
 これらのネーミングを考える人はその人なりに苦労して考えたのでしょうが、既に世にでているネーミングをチェックしてみるのも必要な気がします。 こう似たような名前が増えると、全く新しいネーミングをつけるだけで他社に差をつけられるような気もします。実際、インターネットでのオークションサイト等では、商品名の記述ひとつでアクセス数が全くかわると聞きます。

 そんな中で、とあるメーカーの商品のネーミングを見て、そのつけ方に一貫性にある種の感動を覚えた事があります。そのメーカーのシリーズ名は 「トーマス」 であり 「パーシー」 であり 「ゴードン」 であり 「ジェームス」 でした。 うちの子供もそうでしたが、きっとこのメーカーのネーミング担当の人の子供も機関車好きだったのでしょう。 これはこれでいいような気がします。 ネーミングに苦労しているメーカーの皆さん、これからは 「ラウル」 とか 「ロナウド」 とか 「フィーゴ」 なんてどうでしょう? 私は個人的には 「ロベカル」 がいいななんて思ってますが。


vol.132 : 色と性別

 色自体には性別というものはありませんが、それを身につける時に男女の違いが現れてきます。私が子供の頃は赤は女の子の身につける色でした。 ランドセルも男は黒、女は赤に決まっていました。 さすがに今でも赤いランドセルを背負って学校に行っている男の子はいないと思いますが、服装では赤を着ている男の子もたくさんいます。
 家具においては、色で男用とか女用と分ける家具はあまり存在しません。純粋に用途的に考えて、ドレッサーは女性用だと思いますが、最近では男でも鏡に向かう人もいるようですから一概にいえません。そんな中で数少ない男女別の家具が学習机でした。 でした、というのは、どうやらそれも過去のものとなりそうな感じになってきたからです。 ちょっと前まで学習机というと、キャラクターの絵がついたパネルがついていてその絵で男の子用とか女の子用とか区別がつきました。絵は男の子用の絵も女の子用の絵も両方ついているので、机自体は男女の別はないのですが (一部、Kさんのシリーズで女の子専用という机もありますが)、大体濃い色の机の絵は男の子用にしておいて明るい色の机の絵は女の子用にして展示している事が多かったと思います。 また木製でない椅子では男の子用の布地はブルーで女の子用はピンクになっていました。
 そして実際に購入されるお客様も、男の子だから色は濃い方の色にしよう、というようにメーカーや店自体の思惑通りの色の選び方だったのですが、最近はその法則も崩れてきました。 昨年ぐらいから増えてきたのが、女の子で濃い色の机を選び、椅子の色はブルーを選ぶという例です。 そうなるとメーカーの方でも作る数の色の割合いが読めなくなってきます。特定の色の机が欠品して足りなくなったり、別の色がだいぶ余ってしまったりするようになってきたようです。それで、最近では中間色のもの1種類にするとか、椅子ではグリーンの色をだしてきて男女どちらでもOKですよ、とPRしたりしています。 キャラクターは昔は非常に重要視されていましたが、最近は机自体の価値で選ばれるお客様が増えてきたので、かえってキャラクターがない方が良かったりします。 そんなこんなで世の中の流れと同じで机も男女別の差がなくなってきました。 さあ、今シーズンはどんな机がもっとも人気を勝ち取るのでしょうか。

 先日、近所の公園にハリケンジャーというのが来てました。考えてみたらゴレンジャーの時代から○○レンジャーのリーダーというのは色は赤で男だったのに気がつきました。それは、それでいいのですが、○○レンジャーに必ず一人は混じっている女性の色がなんとハリケーンブルー、つまり青でした。ピンクとかイエローとかなら、そうかそうか、と見ているのですが、ハリケーンブルーのコスチュームはどうみてもスカート!これにはびっくりしました。  これからは男が赤で女が青という時代がくるのでしょうかね。ま、私もサッカーの応援に行く時はまっ赤ですけどね。 それにしてもナビスコ杯はくやしかった。 頑張れ、浦和レッズ!!


vol.131 : 名作椅子130脚に座る

 「名作椅子130脚に座る −椅子デザインの系譜と座り心地−」
という展覧会が新宿であり、行ってきました。 展示してある椅子はいわゆる有名デザイナーの椅子が中心ですので今までにも何度か見た事があるのですが、今回の展覧会はそのタイトルが示している通り
実際に座って座り心地を確かめることができる、というのが売りです。従来では、「手を触れないで下さい」と書いてあるのに、手を触れるどころか座ってしまう、という何とも太っ腹な企画でした。それでも、入り口では鞄などの持ちこみは禁止され、女性の小さなハンドバックも 「座るときは膝の上にのせてください」と注意をしていましたので、それなりに椅子に対するケアはしっかりしてありました。

 椅子の目的・用途は当然座るという事ですが、「社長の椅子」とか「大臣の椅子」 とかのようにその地位を示す時にも椅子という言葉を使うように、単に座るためだけでなく椅子のデザイン自体がそのステータスを示すようなものも少なくありません。そうなってくると、椅子というのは座るための椅子と見せるための椅子と分化して進歩しているのかもしれません。
 名作椅子というものはデザイン的には、やはりなにか訴えるものがあります。そのデザインがあらかじめ作家によって意図されていたものもあれば、純粋に機能を追及して行きついた機能美であったりしますがぶざまな形状のものはやはり名作椅子にはなりません。 それで、いつもはデザインの秀逸さだけを見て帰って来るのですが今回は実際に座れるという事で楽しみにしていました。

 結論から言うと、名作椅子必ずしも座り心地がいいとは限らない、と感じました。 見るからに奇抜なデザインで座る前から座り心地は悪いとわかりきっているもの(リートフェルトのレッドアンドブルー等)もありますが、見る限りでは座り心地が良さそうなのに意外と座りにくいものがあったのは発見でした。この展覧会では、直感的な座り心地だけでなく、座った時の体圧分布を測定する事で座り心地を数値化する試みも行なわれていました。ちなみに数値的に最も座り心地の悪かった椅子は超有名なマッキントッシュのヒルハウス・チェアで、昔、まだ家具屋を継がず、デザイナーの椅子なんて知らない時代にどこかのホールでこの椅子が置いてあり、ちょっと腰をかけて 「座りにくい椅子だなあ」 と思っていたら、「この椅子は座る椅子ではありません」 とホールの人に怒られたのを思い出してしまいました。今回は怒られる事なく、この椅子にも座れましたが、やはり座り心地は良くありませんでした。 大雑把に言って座り心地のいい椅子は、いろいろと偽物や真似したデザインが出回っているものが多かったような気がしました。 ハンス・ウエグナーの人気が高いのもデザインと座り心地がともにいいからかもしれません。
 最後にひとつ、感動したものは籐製の椅子の美しさです。最近、世の中に出回っている(当店で展示しているのも同じですが)籐製品は東南アジア製で雑な仕上がりがほとんどですが、隅々まで丁寧に編まれた籐の美しさには目を見張りました。 でも値段にすると東南アジア製の10倍以上にもなるこれらのものはこれから技術が廃れていってしまうのかと思うとさみしくなりました。


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