賢者の石 バックナンバー(6)

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vol.60: 削除

内容に間違いがありましたので削除しました。


vol.59: ガリやアガリならまだしも

 おすし屋さんを例にあげると、お茶の事を「アガリ」とか醤油はムラサキとか言うように、その業界での用語、すなわち符牒があります。でも、お客さんの方が「アガリちょうだい」とか符牒を使うのは粋でない、とかよく言います。
 
 専門用語や符牒は、その世界の人が内輪に使う分にはいいのですが、ほかの人が使ったりというのはどうかなと思う場面がたまにあります。
 今回のお話は、一応は一般用語ですので専門用語や符牒とはちょっと違うのですが、一般の人に対して使うのはどうかな、と思った語句についてのできごとを書こうと思います。

 先日、あるメーカーの新しい食器棚のシリーズを展示しました。シリーズとしては5種類の製品があるのですが、全部を展示するスペースがありません。そのため2種類のみの展示であとはPOPを見てもらうというよくやる手法を使いました。こういったPOPは店で作る場合とメーカー側が作って来る場合があります。
 今回のPOPはメーカーが作ってきたのですが、それを見て唖然としてしまいました。何に唖然としたのかというとそのサイズ表記なのです。
2.0尺レンジ台、 2.7尺食器棚、 4.0尺食器棚 等々
いつの時代なんだよおい、と言いたくなってしまいました。確かに取引先との間では、
「120cmの食器棚で...」と言うかわりに「4尺の食器棚で」
とか言ったりする事はあります。でも、お客様向けのPOP何尺という表記をしてくるのはどんなもんでしょう。
 きっとこのPOPを作った人は、年配の人なんだろうと思って、担当の営業マンに聞いてみました。すると、答えはすごい若手です、との返事。良く考えたら、パソコンを駆使して作ったと思われるそのPOPがcm表記でなく尺寸表記の方がピンとくる人の作ったもののはずがない。それではなぜ?と考えて出た結論がこれです。
 きっとその若手君は、おすし屋さんで「お茶ください」というよりも「あがりちょうだい」といったりする人種なのではないでしょうか。それで、60cmと書くかわりに2尺と書くのがかっこいいと思ってしまったのでしょう。そうでなきゃ2.7尺なんて表記はでてこないはずです。私たちでもせいぜい使ってちょうど何尺か、あと5寸きざみぐらいです。80cmを2.7尺なんていう家具屋は聞いたことがありません。
こういうのって変だと思わない、と聞いたら、営業マンもそういえば変ですよねと言っていました。

 でも私もここ数年はおすし屋さんで「お茶下さい」と言ったことがありません。 えっ、それじゃ他人の事は言えないじゃないかですって。 そうじゃないんです。だって、回転寿司ってお茶はセルフサービスで、しゃべる必要がないんだもん。トホホ。


vol.58: 国際家具見本市

 先日、ビックサイトまで国際家具見本市を見に行ってきました。このイベントは年に1回、この時期に東京で行われているのですが、実は表の年と裏の年というのがあって、今年は裏の年でした。

 表、裏というのはどういう事なのかというと、国内メーカーの出展数や力の入れ具合が違うのです。ズバリ言うとこのイベントに参加するメーカーの多くは、毎年出展するのではなくて、2年に1回出展するというところがかなりあるのです。それで、裏の年は日本メーカーのコマ数がガクッと減ってしまうのです。
 今年は、その裏の年(出展の少ない年)でしたので、あまり期待はせずに会場に足を運んだのですが、期待通り(?)あまり収穫はありませんでした。

 そんな中で、ちょっと興味を惹かれたのが、日本フリーランスインテリアコーディネーター協会が行っていた展示です。TVや新聞でも紹介されていましたので、ご存知の方も多いと思いますが、「椅子のS,M,L」
という実験です。有名な家具メーカー数社に、食堂椅子を同じデザインで大きさを変えたものを作ってもらって座り比べをしてみようというものです。人の体格はかなりばらつきがあって大きい人と小さい人とではかなりの身長差があります。知人のS夫妻もご主人と奥さんの身長差は30cmぐらいあります。それなのに、ひとつのデザインの椅子はひとつのサイズしかないのが現状です。大きすぎるから脚を切る、という事もありますが、それでは座面の高さが低くなっただけで、全体のバランスが狂いますし体の小さい人にとっては背もたれまでの奥行きとかもありすぎて、背中に座布団やクッションをはさまないとぴったりしないなんて事もあります。そういった不満に対応するためにXSからLサイズまでの4種類の椅子を試作してみたのでした。
 私(身長172cm)はMサイズが一番しっくりきたのですが、体が小さい人はSやXSの方が合いそうな気がしましたし、同じ身長でも100kgを超える体格の人ならLの方が座りやすいでしょう。なかなか、おもしろい試みだとは思ったのですが問題はテーブルです。椅子はひとりずつに合わせても、テーブルは皆でひとつです。テーブルの高さを段々にするわけにもいきません。それが問題だと私も思いましたし、メーカーの人もそう言っていました。しかしながら、主催者のコーディネーター協会の人は70cmの高さのテーブルで皆、大丈夫です、と言っていました。

 そーかなー、と思いながら家に帰り、夕飯を皆で食べていて、ふと気がつきました。きちんとご飯茶碗を手に持って日本式に食事をしている限りあまり影響はなさそうだと。ナイフとフォークで、テーブルの上に置かれたお皿から食べるのだとちょっと影響はあるかも。でも、私の家ではそんな事をすることはまったくありません。
考えてみると、自宅の食卓、ファミリーレストランのテーブル、居酒屋さんの座卓など、自分に対してのテーブル面の高さはさまざまですが、めちゃくちゃ不便だという経験はほとんどなかったような。それに対して椅子に関しては
 「これは何か座り心地が良くないな。とっとと食べてさっさと帰れって事かな」なんて思った事もあったりして。

 そう考えるとこの椅子のサイズ・バリエーションはおもしろいかもしれないと思いましたが、各メーカーの人に聞いてみると製品化の予定はない、もしくは特注扱いとしてなら受けるかも、との事でした。実用化まではまだ先のようですが、誰かが言いだすのが大事なんですよね。


vol.57: 間口と奥行き

 冷蔵庫の横のスペースを有効に使いたい、と何度か来店していたお客様がどうやらエレクターが気に入られた様子で、サイズを測ってくると帰られました。そして、また来店してくれたのですが、サイズが微妙で入るか入らないかわからないとの事。エレクターで一番狭い幅(間口)のものは45cmです。

 それでは私が測りに伺います、と言ってお客様のところに行って測ってみると、44.8cmぐらい。冷蔵庫の逆側は流し台が備え付けてあって冷蔵庫はもう1cmも動かせません。スペースの反対側は壁。結論としては、45cmのものを入れるのは無理という事になりました。
「一番、幅が狭いのが45cmだからこれより狭いのはないし、」
と、お客様はあきらめきれない口調で言われます。
「もっと狭いのもありますよ」
と私が言うと、びっくりした様子。カタログに載っていないサイズがあるのかと思われたようです。いえいえ、そうじゃないんです。ちゃんとカタログに載っていますよと説明をはじめました。

 普通の箱物家具は扉とか引き出しがあったりするので表や裏、幅(間口)方向と奥行き方向が決まっています。でもエレクターの場合、単に棚だけを使う形であれば間口方向を奥行き方向と考えても特に問題はありません。そうすると、奥行きが30cm、35cmといったものを幅30cm、35cmと考えることもできるのです。そしてこのお客様の場合、冷蔵庫と壁のすきまに設置したいという事で、冷蔵庫の奥行きは約60cm。間口60cm、奥行き35cmの棚を縦方向に使うことで万事解決と相成りました。奥行き方向に長いと後ろの方の物の出し入れがやりにくいという問題は、キャスターをつける事により棚自体を前に引き出せるようにすることでクリアできました。

 ほんのちょっとの事なんだけど、言われないと気がつかなかったよ、とお客様から言われました。あなたの町にも、自分で販売して自分で配達をする小さな家具屋さんがあると思います。そんなお店ってこんなほんのちょっとのノウハウを案外持っているものです。どんなつまらない事でも相談して見てください。

*エレクターについては「賢者の石 vol.1を参照してください。
*エレクターのカタログでは幅という言葉を使わず、間口という表現を使用しています。


vol.56 : パソコンが壊れた

 約半月、更新ができませんでした。実は、パソコンが壊れてしまったのです。
 まず、始めにインターネットに接続ができなくなりました。ネットワークのところを見ると、モデムが設定されていない、とメッセージが。モデムのところを調べると、どうやらUSBのドライバが壊れている様子です。そこで、USBのドライバをインストールしなおそうと何度かトライしていたら、CD-ROMドライブが読めなくなってしまいました。パソコンを購入してから1年と1ヶ月が過ぎていました。
 保証期間を過ぎると、急に具合が悪くなるとよく聞きますが、見事としか言いようがありません。しかたが無いのでCD-ROMドライブを交換する事にしました。でも、転んでもただで起きてはつまりませんので、この際と思いCD-ROMドライブをCD-RWのドライブにする事にしました。

 ドライブを交換する事でCD-ROMは読めるようになりましたが、やはりうまくドバイバがインストールできません。今までは、バックアップを取るメディアがなかったのですが、CD-RWにしたので、CD-Rにデータをバックアップして、ハードディスクをまっさらにしてリカバリ・ディスクでパソコンを最初の状態にしたところ、問題は解決しました。いったい何がいけなかったのでしょうか。
 具合がちょっと悪くなる前に実は、フリーの囲碁のソフトをダウンロードしたのですが、それがいけなかったのでしょうか。それが本当の原因かどうかはわかりませんが、ただより怖いものはない、というのは本当ですね。

 これで一件落着といきたいところなのですが、実はまだ、いろいろと困っています。ハードディスクを初期状態に戻したため、いろいろなドライバを組み込んだり、アプリケーションをインストールしなおしたりしなければいけないのですが、普段から整理整頓をしてないのがたたって、ソフトのCD-ROMがどこにいったかわからなかったり、CDはあってもインストールに必要なシリアル番号が書いてある紙とかマニュアルが見つからないのです。
 ああ、ちゃんと整理しておけば良かった。 パソコンが前の状態に戻るのはいつになるのでしょう。


vol.55 : フィトンチッドと柿の葉鮨

 昨年から檜の机を展示しています。昨年度の段階では机の上に置く本棚がなかったのですが、今年度から上棚がラインナップに加わりました。今日、その棚がメーカーから届きました。展示をすると檜のいい匂いがプーンとただよってきました。うなぎじゃないけど匂いで思わずほしくなってくれないものかな、と思ってしまいました。
 この棚の香りは本物の檜から発する香りですが、最近の学習机は、ヒノキチオールの成分配合とかフィトンチッド配合とかいって、木の香りの成分を抽出したものを染み込ませているものが増えて来ました。木の香りがリラックス効果をもたらし、また殺菌作用もあるためです。植物自体にはこのような殺菌作用があります、という学習机のカタログの説明を読んでいて柿の葉鮨を思い出してしまいました。
 「柿の葉鮨」はこっち(関東)の方ではみかけませんが、関西の方に行くとよく売っています。柿の葉が殺菌作用を持っているので押し鮨をその葉で包んでおくといたみにくいという昔からの知恵でできたものだそうです。
 私が以前、サラリーマンをしていた時、月に1,2度は大阪への出張がありました。あるとき、夕方の新幹線で大阪から東京に帰る時、新大阪の駅で夕飯にしようと思い、柿の葉鮨を生まれて初めて買いました。
 その時は、柿の葉鮨のいわれとかも全然知りません。京都を過ぎたあたりで、買った柿の葉鮨を開けました。中を見ると柿の葉に包まれた四角いものが並んでいます。そこで、はたと困ってしまいました。
「こ、これはどうやって食べたらいいんだろう。」
初めてでしたので、葉っぱをとって食べるのか、そのまま食べるのかがわかりません。
「葉っぱを剥いて食べる気もするけど、桜餅は葉っぱごと食べるし」
箱を開けたまま、じっとお鮨を見つめているのは、隣の人に変に思われそうですので、頭の中は高速回転です。
「この葉っぱをとっちゃうとただの押し鮨だぞ。わざわざ柿の葉っぱで包む意味が無い。それに昔、近所の高校の文化祭で柿の葉の天ぷらを食べた事があったような気がする。」
そう思った私は、柿の葉鮨を一つ手に取ると、アグッとそのままかぶりつきました。
「ゲッ、これはうまくないぞ。あ、隣の人が俺の事を変な目で見てる。し、しまった。」
食べ始めた手前、その1個は葉っぱ付きで食べました。
「ちくしょー。なんで柿の葉っぱになんか包んだ鮨を売ってるんだよー。」
心の中でバカヤローと叫んでいました。

 柿の葉っぱに殺菌作用があって、腐らないように包むという事を知ったのは数日後の事でした。


vol.54 : 間違えないダボ穴

 人間の感覚というのは案外、いいかげんなもので水平に並べたつもりがななめになっていたりという事がよくあります。
 棚板が可動式になっているものは、その棚の内側側面にダボ穴という穴がたくさんあってちょうどいい高さの場所の穴にダボという金具をさしこんだりねじこんだりしてその上に棚板をのせるようになっています。穴は片側あたり前と後ろ2列あいています。当然ながら前と後ろは同じ高さのところにダボを入れるのですが、同じ高さの場所に入れたつもりが1段分ずれていたりする事が案外あります。そんな時、人間の感覚は(もしかして私だけ?)案外、いいかげんなんだな、と思います。
 でも、そんな中で入れる場所を間違いようがないようになっている棚があります。
それは、素晴らしい。きっといいものなんでしょう。
と、思われた方、実は逆なんです。
棚ダボを入れる場所を間違えようがない棚とは、ダボ穴の数が少なくて、これはここに入れるしかないでしょう、という穴とその上下2つ、という感じの穴になっています。つまり棚板1枚あたり3段ずつの穴になっています。それ以外の場所は穴があいていません。一見、合理的に思えますが、実際は3段の真ん中以外はほとんど使えない感じで、いっそ固定でも同じかなと思えるものもあります。
 お客様も、棚が可動か固定になっているかは確かめられますが、どのくらいのピッチで変更できるのかを確かめない方がほとんどです。均等に棚板を配置しない事が予想される時には、棚板が固定かどうかだけでなく、ダボ穴のピッチも忘れずに見て下さい。

 本当であれば、ダボ穴はたくさんあいていて、かつ何個かおきに目印になっていれば最高だと思うのですが、そのように位置の目安が周期的についているものは今のところ、見かけません。ほんのちょっとの事なんですけどね。


vol.53 :引き戸が地震に強い理由

 先日、鳥取で大地震があったとの報道がされていました。神戸の時に近いぐらいの震度がおそったそうです。
 阪神淡路大震災があった時、倒れてきた家具につぶされたり怪我をされたりした方が大勢いました。そのため、その後、家具が倒れないように転倒防止の器具が売れたり、壁と家具とを繋ぐ金具が標準で付属する家具が増えたりしました。そのように、処置として家具が倒れないようにする対策だけでなく、元々倒れにくい家具を使おうというお客様が増えました。
 物理的に言えば、背の高いものより低いもの、奥行きの浅いものより深い物、上より下の方が大きいもの、軽いものより重いもの、等が倒れにくいものですが、その他にも開き戸より引き戸のものの方が倒れにくいという性質があります。ただ、これはあまりピンとこないお客様もいるようですので、今回は引き戸が倒れにくい理由を食器棚を例に説明したいと思います。
 実は、お店に展示してある状態(すなわち、扉が閉じていて中に何も入っていない状態)では、開き戸も引き戸も倒れにくさは変わりません。さらに、家庭で食器が収納されている状態でも変わりません。では、どのような状況で差がでるのでしょうか。
 ここで、倒れやすいという事はどういう事なのかを考えてみましょう。倒れやすいというのはその物体の重心がその物体の中心の垂線上に無い事を言います。重心が中心の垂線上より前にあれば前に倒れやすく、後ろにあれば後ろに倒れやすくなります。扉が閉じている状態では、開き戸でも引き戸でも重心の位置はほとんど変わりません。ところが扉が開くと開き戸の場合は扉が前方にでますので重心が前に移動します。それによって開き戸は前方に倒れやすくなるのです。引き戸は扉を開けても重心は左右には移動しますが前方には移動しません。
 もう一点、同じ形状のものなら軽いものより重い方が倒れにくくなります(ただし、上の方が重くて下の方が軽い等の不均衡の場合はこの場合は考えない事とします)。地震の振動で開き戸が全開になることはありますが、引き戸が開く事はあまりありません(開いても半分しか開きません)。扉が開くと、そこから中のものが飛び出すかもしれません。ものが飛び出すとその分、食器棚の重量は軽くなり中にものがあった時より倒れやすくなります。
 以上の2点から引き戸は開き戸より倒れにくいのです。

 これを逆手にとると、開き戸でも扉が開かなければ倒れにくさはかわらない事になります。それで、開き戸が自然には開かないようにした耐震型の開き戸食器棚もいくつか最近ではでまわっています。
 その他にも、中の食器等が倒れたとき、後ろに倒れるように棚に1度ぐらいの角度をつけたり、棚板がはずれないような留め方をしているとかちょっとした工夫がされているものが数多くでています(特に静岡の家具メーカーに多い)。
 そんな事も考慮に入れて家具を選択する必要がこれからはあるかもしれません。阪神淡路大震災の後もかなりの割合で引き戸の食器棚の需要が増えました。今回もまた、引き戸のブームは来るのでしょうか。


vol.52 : 今日は10月10日

 今日は10月10日です。晴れの特異日というだけあってみごとな快晴になりました。従来であれば、今日は体育の日で各地で運動会とかがあったりするわけですが、今年から祝日がその年によってずれるため、今年の体育の日は9日で雨でした。
 元々、体育の日は東京オリンピックを記念してその開会式の日を祝日にしたのですが、オリンピックの開会式が雨では困るので晴れの特異日である10月10日が選ばれたと聞いています(私は当時2才)。
 連休にするために、祝日をずらすのは勝手ですが、それによって本来は晴れ(の確率が非常に高い)の祝日が普通の日になりさがってしまって、外でのイベントの多い体育の日がなんだか価値が下がってしまったような気がしたのは私だけでしょうか。
 どんな日でもいい祝日は別として、その日自体に意味のある日はずらさない方がいいように私は思います。何年かすると、体育の日は、東京オリンピックを記念してできた祝日という事は残っても、その日が晴れの特異日だったという事は忘れ去られてしまう気がしてなりません。
 
 物にも本来の用途や目的が忘れ去られて、変な事が起きてしまう事があります。
 箱物(箱の形をしている家具、テーブル等は脚物という)家具の底に、長方形や三角の薄いベニヤ板等がついているのを見たことがある方は大勢いらっしゃると思います。これは地摺り下摺りと呼ばれ、移送中の家具本体の保護の目的を持っています。これは、本来は納品時に取ってしまうものなのですが、取らずにそのまま設置してしまう事もあります。
 あれは約1年前ぐらいの事でした。当店の近所にある某引っ越し屋さんから電話がかかってきました。話によると、その引っ越し屋さんが東北の方からこっちの方に引っ越しをやったのですが、その際に整理ダンスを破損してしまったので修理できないか、との事。
 引っ越し屋さんからよくある問い合わせは、家具を破損してしまって弁償しなくてはいけないので同じものがありますか、とか、補償をしないといけないのでいくらぐらいの品物か見て下さい、というのがほとんどです。
 修理してくれ、という事は逆にとると、弁償しなくても直してくれるだけでいいよ、というやさしいお客さんなのかな、と思ったのですが、どうもそうではないらしい。引っ越し屋さんに言わせると、破損はしてないのだから弁償なんてできるか、という事らしいのです。
 そして、その現物が店に運ばれて来ました。どうみても、壊れたり傷ついたりした所がありません。
「これのどこが壊れているの。」と引っ越し屋さんに聞くと、
「底の板(すなわち地摺り)がとれた。」との事。
「えっ、でもこれって本当は取っちゃう物だよ。」と言うと、
お客さんは、その板は本来は家具の一部だと思いこんでいて、新しい板をつけないと赦さないと言ってるらしいのです。 某有名家具メーカーでは、その取り扱い説明書に、下摺りパットは必ずお取り下さい、と書いているのでそれをコピーしてあげようかと思いましたがやめました。
 本来の用途から言うと変な事なのですが、当店で新しい地摺りをつけてあげると、その引っ越し屋さんはお礼を言って帰っていきました。

 そんな事を考えていた今年の10月10日ももう終わり。来年の体育の日は晴れるのでしょうか。来年の体育の日は10月8日です。


vol.51 : 名刺が渡せない理由(わけ)

  先日、某大手メーカーの営業マンが関東事業部の方と二人連れでやってきました。うちの店ではこのメーカーが嫌いで現在は展示がありません。なぜ、嫌いかというと態度がすごく横柄だからです。それなら取引をやめてしまえばいいのに、と思われるかと思いますが、なにしろこのメーカーは超大手メーカーのため、年に一、二度は品名指定でのお客様がいらっしゃるため取引をやめられません。そんな事も、あってたまに注文をすると、「それじゃ、しかたがないから売ってやるよ。」みたいな対応をされます。こちらで販売に力を入れていないからということもあるのでしょうが、こっちはお客様なんだからいいかげんにしろよ、と思ってしまいます。

 そんな関係とはつゆ知らず、関東事業部のおえらいさんは、来店の説明をします。
曰く、「今度、この地区で一般顧客を集めての販売会をやるので、御社(当店)のお得意さまへの告知・動員をお願いします」、との事。
 一通りの説明を終えた後、そのおえらいさんは、ご挨拶が後になりましてといいながら名刺を出しました。そのため、私も名刺を2枚だしました。2枚だした理由は、私は一緒に来た営業マンにも会ったことがなかったからです。ところが、おえらいさんと名刺交換をしている間、営業マンは名刺を用意するそぶりはありません。
なんだ、こいつは。と思いながら私は名刺を一枚しまいました。
 それで、その後の二人の対話や行動を見て、納得がいきました。おえらいさんはこの営業マンが定期的に当店にセールスに来ていると思っているようでした。そんな時に、名刺交換なんてしたら全然、店に顔を出してないことがばれてしまいます。そのためその営業マンは名刺を出すことができなかったのでした。

 はたして、あのおえらいさんは私が最初、名刺を2枚用意した理由に気づくでしょうか。


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