象嵌とは「はめこむ」ことです。空に飛んでいる絵ならばその鳥の形に空の部分を切り抜き、寸分違わずにはめ込みます。
私の始めた象嵌技法はそれを更に進め、浮き立たせたい部分を背景より厚く作り、はめこみながら3mmから5mm程度、盛り上がらせています。その部分を浮き彫りで彫ります。これにより遠近感を強調したり、絵の存在感を強いものにすることができるのです。
材料の木として、例えば最も暗い部分は黒檀・紫檀・暗赤色は花梨(カリン)という様に銘木を使います。どの部分にも着色は一切してありません。又、単に色々な樹種を使うだけでなく、その木の中で特に「ボカシの木目の入っている部分や、ほんのわずかしかとれない変わった木目の部分だけを使い、絵としての効果を盛り上げるのに神経を注いでいます。
一枚、一枚が自然からの得難い贈り物だと思っています。又、それぞれの樹の経年変化の違いも熟知していないと当初の狙いと全く違った作品となってしまいます。逆に、木は年月とともに味わいが深くなる材料なので、長い年月その変化を楽しめるという魅力もあります。
木に対する深い知識と精密に加工する経験と技術、更に絵画に対するセンスの三つが揃って初めて成立するのが木彫象嵌の絵画といえます。難しさを感じるだけにより一層、研鑽を重ねなければと思っています。
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